じりじりと暑さがきびしくなる七月。七夕(たなばた)の願いごとに続いてやってくるのが、夏のビッグイベント「土用(どよう)の丑(うし)の日」です。香ばしいタレの香りをまとった鰻(うなぎ)の蒲焼き(かばやき)は、夏バテ(なつばて)ぎみの体にうれしいごちそう。この記事では、土用の丑の日の由来(ゆらい=始まり)や、鰻の栄養、夏を乗り切る食の知恵(ちえ)まで、わかりやすくご紹介します。
さきに結論を言うと、土用の丑の日は「夏の暑い時期に精(せい)のつくものを食べる日」。鰻には夏バテ予防に役立つ栄養がたっぷりふくまれていて、昔から夏のスタミナ食(しょく)として親しまれてきました。
土用(どよう)の丑(うし)の日って何?
「土用」とは、季節の変わり目の約18日間のことで、じつは年に4回あります。なかでも有名なのが、夏の土用。この期間のうち、十二支(じゅうにし)の「丑(うし)の日」にあたる日が「土用の丑の日」で、毎年7月下旬ごろにあたります(年によっては2回あることもあります)。
もともと日本には、暑さで弱りがちなこの時期に、精のつくものを食べて夏を乗り切る習わしがありました。「う」のつく食べもの——うどん、梅干し(うめぼし)、瓜(うり)など——を食べると夏バテしない、とも言われてきました。鰻もそのひとつです。
なぜ土用の丑の日に鰻(うなぎ)を食べるの?
土用の丑の日に鰻を食べる習慣が広まったのには、有名な言い伝えがあります。江戸(えど)時代、夏に売り上げがのびず困っていた鰻屋(うなぎや)が、学者(がくしゃ)の平賀源内(ひらが げんない)に相談したところ、「本日、土用の丑の日」という看板(かんばん)を出すことをすすめられ、これが大当たりした、という説です。
「丑の日だから“う”のつく鰻を食べよう」という語呂(ごろ)のよさもあり、この習慣は全国に広まりました。栄養たっぷりの鰻を、いちばん暑い時期に食べるのは、理にかなった夏の知恵でもあったのです。
鰻(うなぎ)の栄養にまつわるトリビア
鰻は「夏バテ予防にぴったり」と言われるほど、栄養が豊富な魚です。とくにビタミンAやビタミンB群を多くふくみ、これらは体の調子を整えたり、エネルギーを作り出したりするのに関わる栄養素です。さらに、良質なたんぱく質や、青魚(あおざかな)に多いDHA・EPAもふくまれています。
暑さで食欲が落ち、栄養がかたよりがちな夏。そんなときに、香ばしい蒲焼きなら、するりと食べられて栄養もとれる——鰻はまさに、夏にうってつけのスタミナ食なのです。(※栄養成分のくわしい数値は文部科学省「日本食品標準成分表」などが参考になります)
鰻(うなぎ)のおいしい食べ方
定番はやはり、ふっくら焼き上げた蒲焼き(かばやき)をご飯にのせたうな丼・うな重。甘辛いタレとご飯の相性は絶品です。少し変わった食べ方なら、名古屋名物の「ひつまぶし」もおすすめ。最初はそのまま、次に薬味(やくみ)をのせて、最後はだしをかけてお茶づけ風に——一度で三度、味の変化を楽しめます。う巻き(うまき=鰻入りの卵焼き)や肝吸い(きもすい)も、居酒屋(いざかや)でぜひ味わいたい一品です。
夏の夜に合う一杯
甘辛い鰻の蒲焼きには、キリッと冷えた辛口の日本酒や生ビールがよく合います。タレのコクを、すっきりと流してくれます。う巻きのようなやさしい味には、冷酒(れいしゅ)もおすすめです。
お酒を飲まない方には、よく冷えた麦茶(むぎちゃ)や、炭酸のきいたノンアルコールドリンクを。香ばしい蒲焼きと合わせれば、暑い夜もさっぱりと楽しめます。
よくある質問(FAQ)
土用(どよう)の丑(うし)の日は毎年いつ?
夏の土用(季節の変わり目の約18日間)のうち、十二支の「丑の日」にあたる日で、毎年7月下旬ごろです。年によっては夏に2回あることもあり、その場合は「一の丑」「二の丑」と呼びます。
なぜ土用の丑の日に鰻(うなぎ)を食べるの?
江戸時代、鰻屋が学者の平賀源内に相談し、「本日、土用の丑の日」という看板を出したところ大繁盛した、という説が有名です。「丑の日に“う”のつくものを食べると夏バテしない」という習わしとも結びつき、全国に広まりました。
鰻(うなぎ)はなぜ夏バテによいの?
鰻はビタミンAやビタミンB群、良質なたんぱく質などを豊富にふくみます。これらは体の調子を整えたり、エネルギーを作ったりするのに関わる栄養素で、食欲が落ちがちな夏にうれしい食材です。
暑い夜こそ、鰻でスタミナを
むわっとした夏の夜。香ばしいタレの香りにさそわれて、ふっくらした鰻の蒲焼きに、キリッと冷えた一杯——土用の丑の日は、夏を元気に乗り切るための、昔ながらのごちそうです。今年の丑の日は、鰻でしっかり精をつけて、暑い季節を楽しく過ごしてみてはいかがでしょうか。