暦(こよみ)の上では春が近づく二月。とはいえ、まだまだ寒さがきびしいこの時期は、じつは海の幸(さち)がいちばんおいしくなる季節でもあります。節分(せつぶん)の恵方巻(えほうまき)をほおばりながら、脂ののった寒(かん)の魚で一杯——そんな二月ならではの食卓を、この記事では楽しくご紹介します。恵方巻の由来(ゆらい=始まり)から、この時期が旬(しゅん=いちばんおいしい時期)の魚まで、まとめてわかりやすくお届けします。
さきに結論を言うと、恵方巻は「その年の縁起(えんぎ)のよい方角を向いて、だまって食べると福(ふく)が来る」とされる節分の巻き寿司。そして二月は、寒鰤(かんぶり)や河豚(ふぐ)など“寒の魚”が旬をむかえる、お酒好きにはたまらない季節です。
恵方巻(えほうまき)の由来とは?
恵方巻とは、節分(2月3日ごろ)に食べる太巻き寿司(ふとまきずし)のこと。「恵方(えほう)」とは、その年に縁起がよいとされる方角のことで、毎年変わります。この恵方を向いて、願いごとを思いうかべながら、だまって一本を食べきると、福が来て縁が切れない、と言われています。
もともとは関西(かんさい)の風習(ふうしゅう=昔からの習わし)だったと言われ、商売繁盛(しょうばいはんじょう)や無病息災(むびょうそくさい=病気をせず元気でいること)を願う縁起物(えんぎもの)でした。それが全国のお店に広まり、今では二月の風物詩(ふうぶつし=季節を感じさせるもの)としてすっかりおなじみになりました。
中に巻く具(ぐ)は、七福神(しちふくじん)にちなんで七種類(しちしゅるい)を入れると縁起がよいとされます。かんぴょう、しいたけ、卵焼き、きゅうり、でんぶなどが定番ですが、近ごろは海鮮(かいせん)をたっぷり巻いた「海鮮恵方巻」も大人気です。
二月が旬の“寒(かん)の魚”たち
節分の主役が恵方巻なら、二月の食卓のもう一人の主役は「寒の魚」。寒さがきびしいこの時期は、魚が身を守るために脂(あぶら)をたくわえ、一年でもっともおいしくなります。
寒鰤(かんぶり)
12月〜2月に脂がのる冬の王様。とろけるような脂と甘みが魅力で、お刺身やぶり大根、ぶりしゃぶが絶品です。
河豚(ふぐ)
冬を代表する高級魚。淡泊(たんぱく=あっさり)で上品な身は、うすく切った「てっさ(ふぐ刺し)」や、あたたかい「てっちり(ふぐ鍋)」で味わうのが定番です。「てっさ」「てっちり」の“てつ”は、ふぐの毒(どく)にちなんだ昔ながらの呼び名です。
牡蠣(かき)
「海のミルク」とも呼ばれる、うまみたっぷりの冬の味覚(みかく)。生牡蠣(なまがき)や焼き牡蠣、牡蠣フライなど、食べ方もいろいろ楽しめます。
寒の魚をおいしく食べるトリビア
寒鰤や河豚のような寒の魚は、少し手を加えるだけでぐっとおいしくなります。たとえば脂ののった寒鰤は、大根おろしやポン酢を合わせると、さっぱりと最後まで食べられます。河豚のような淡泊な白身は、あたたかい鍋にすることで、うまみがだしにとけ出して、しめの雑炊(ぞうすい)まで楽しめます。
また、牡蠣は火を通しすぎると身がちぢんでかたくなるので、焼くときも鍋に入れるときも「ぷっくりふくらんだら食べごろ」を目安にするのがコツです。(※牡蠣は生食用(せいしょくよう)と加熱用(かねつよう)の表示をよく確かめて選びましょう。参考:農林水産省)
節分の夜に合う一杯
恵方巻や寒の魚に合わせたいのは、やはり日本酒。脂ののった寒鰤には、あたためた熱燗(あつかん)がよく合い、脂をやわらかく流してくれます。河豚(ふぐ)を味わうなら、焼いたひれを熱燗にひたした「ひれ酒」が香ばしくて格別です。すっきり冷やした辛口の日本酒は、海鮮恵方巻ともよく合います。
お酒が苦手な方には、あたたかいお茶や、ノンアルコールの甘酒(あまざけ)もおすすめ。節分の縁起(えんぎ)を担ぎながら、体もあたたまる一杯を楽しめます。
よくある質問(FAQ)
恵方巻(えほうまき)はなぜだまって食べるの?
しゃべると口から福(ふく)がにげてしまう、と言われているためです。願いごとを思いうかべながら、その年の恵方(えほう=縁起のよい方角)を向いて、一本を切らずに食べきるのが習わしです。
恵方巻の具(ぐ)は決まっているの?
厳密(げんみつ)な決まりはありませんが、七福神(しちふくじん)にちなんで七種類の具を入れると縁起がよいとされます。かんぴょうや卵焼きなどの定番のほか、海鮮を巻いたものも人気です。
二月にいちばんおいしい魚は?
寒鰤(かんぶり)、河豚(ふぐ)、牡蠣(かき)などが旬をむかえます。とくに寒鰤は脂がのって、お刺身や鍋で絶品です。寒さがきびしい時期ほど、魚は脂をたくわえておいしくなります。
節分の夜は、旬の魚で福を呼ぶ
豆をまき、恵方を向いて恵方巻をほおばったあとは、脂ののった寒の魚で、しみじみと一杯。まだ寒い二月の夜も、旬のごちそうとあたたかいお酒があれば、心までほっとあたたまります。今年の節分は、縁起物と旬の味の両方を、ゆっくり楽しんでみてはいかがでしょうか。